ささ読み小説 第9弾 【気になるお客さん】

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こんにちは
シンディーです。
ささっと読める小説「ささ読み小説」第9弾です。

【気になるお客さん】

「こんにちは」
「あっ、こんにちは」
今日もこの女の子はウチのカフェに来た。
大学生だろうか、毎日必ず来てくれる。
「バナナカフェラテをお願いします。」
「はい、バナナカフェラテですね。他にご注文はありますか?」
「いっいえ」
この子はいつもバナナカフェラテを頼む。よっぽど好きなのだろう。

そして女の子はいつも窓際の端っこの席に座って読書をしたり、ノートに何かを書いている。
しかも必ず店内を見渡せるように窓を背にして座る。
時々ふとその子の方を見ると、目が合った。
僕と目が合うと、慌てて彼女は目をそらす。

見られているのか?
そんなことを考えたこともあるが、それは自意識過剰だろうと思った。
たまに彼女は追加で注文をする。
手を恐る恐る上げて店員を呼ぶ。
「あのっ、チョコレートケーキをください」
追加注文はウチのカフェ特製のチョコレートケーキだ。
甘いものが好きなのだろう。

今日は僕が追加のチョコレートケーキを持って行った。
すると彼女の開いているノートには沢山の洋服のデザインが書いてあるのが目に入った。
凄く丁寧に色鮮やかにイラストが書いてあり、一つ一つの細部に渡り説明書きが書いてあった。
「ファッションデザイナーさんですか?凄く綺麗なイラストですね」
僕は率直な感想を述べた。すると彼女は慌ててノートを隠した。
「すいません。たまたま目に入ったもので。」
「いっ、いえ」
彼女の耳は真っ赤に染まり、緊張が伝わってきた。
メガネの奥には大きな瞳、色白で、黒い髪の毛はツヤツヤしている。
「あっ、あの・・・」
彼女が何かを話そうとした。
「どうしました?」
僕はそう言って、少し姿勢を低くして彼女の声を聞こうとした。
「あの・・・」
僕はそのまま彼女が話し出すのをゆっくりと待った。
「何でもないです・・すみません」
彼女は何か言いたかったみたいだが、引っ込めてしまった。
僕はあまり聞いてしまうと彼女が苦しくなってしまうだろうと思った。
「何かあれば気軽に声をかけてくださいね」
そう言って僕は仕事に戻った。
自分の定位置戻ると、彼女が僕の方を見ているのがわかった。
僕は彼女にプレッシャーをかけまいと気づかないふりをした。
それから1時間ほど経った。
彼女は自分が飲んだグラスとケーキのお皿をトレイにおいて返却口まで持ってきた。
「ありがとうございます。」
僕は彼女に笑いかけた。
すると彼女をトレイを返却して、しばらくその場に立ち止まった。
僕は彼女がさっき言おうとしたことを言うつもりなのかと思い、待ってみた。
「さっきのことですか?」
僕から話しかけた方が彼女が話しやすいかなと思い聞いてみた。
彼女は小さく頷いた。そして息を吸うと
「あっ、あの、ファッションモデルになってもらえませんか?」
「ファッションモデル?」
「じっ、実は私の専門学校でファッションコンテストがあって、それで自分が作った洋服を誰かに着てもらってファッションショーに出てもらうんです。」
なるほどと思った。それで僕のことをやたら気にしていたのかと腑に落ちた。
「ファッションモデルとかやったことないですし、僕なんかで良いんですか?」
僕は初めてのことで、少し戸惑った。
彼女はもう一度息を吸い込んだ。
「実はもう店員さんに来てもらう洋服のデザイン案はできてるんです。ここに来てずっと考えて描いていました。お願いします。どうか私の洋服を着てください」
どうやら彼女が最近ここに来ていたのは僕をモデルに洋服のデザインを考えていたようだ。

それから僕は彼女がせっかく考えてくれた洋服だし、コンテストを応援したいと思ったので、
引き受けることにした。そしてファッションコンテストに出て、無事に彼女の洋服は優秀賞を取った。

そして彼女とはそれからも交流が続き、今は僕の彼女になった。
あの時の人見知りは嘘のように、笑顔で元気に話しかけてくる彼女を見ながら、
彼女と最初に話した時のことを思い出していた。

【こんな感じで】

人見知りな性格と一生懸命戦う女の子と、その子が気になる主人公を描いてみました。
知らない人と目が合うと、「どっかで会ったかな?」とか思ったりしますよね。
しかも毎日のように同じ場所で会ったりすれば、なおさら気になったりとあるかもしれません。

読んでいただきありがとうございました。

 

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