ささ読み小説 第24弾 【生きていく】

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こんにちは
シンディーです。
ささっと読める小説「ささ読み小説」第24弾です。

【生きていく】

目の前に広がる青々とした海。
砂の上に覆いかぶさるように打ち寄せる波に足をつける。
海の中へ引きずり込まれるような感覚だ。
心に巣食う黒いものだけ引きずり込んでくれれば良いのに。
私の周りで遊ぶような風の音を聞きながら目を閉じる。
すると太陽の光が私を照らしていることに気づく。
暗闇の中に眩しいほどの光が見える。
息をするたびに自分の体の動きを感じ沢山の音が色々な場所から聞こえてくる。

いつから私はこんなに沢山の感情を抱くようになったんだろう。
子どもの頃はこんなに自分の感情に惑わされることはなかった気がする。
大人になるにつれて私の心に何かがくっついて離れなくなった。
そしてそのくっついたものを剥がそうとしても
一瞬剥がれたと思ったら、またいつの間にかくっついている。
大人になってから、私は自然を求めるようになった。
昔はあんなに自然から離れたいと思っていたのに。

子どもの時に関わる人はいつも同じだった。
そして関わる人はいつも温かくて、私を包み込んでくれた。
大人になってからは関わる人が増えた。
会う人たちに温かく包み込んでくれる人もいた。でも

「あいつウザいよね」
影で言われた。
「調子乗ってるんじゃない?」
皆んなの前で言われた。

何も言わずにただ氷のように冷たい目で見られた。
だんだん人の顔色や距離感を意識するようになり、時々、人とどう接して良いか分からなくなった。

でも、大人になることで嬉しかったこともある。
子どもの時はできなかったことが沢山できるようになった。
色々考えるからこそ悩んだりすることはあるけど、その代わり
大切な人のことを沢山考えて、感じることができる。
色々な感情を言葉で伝えられるようになった。

「何してる?」
何をしてるか聞かれただけなのに嬉しかった。

「何かった?」
優しさを感じた。

「よく頑張ったね」
涙が出た。

「ちゃんと見てる人は見てるからね」
頑張ろうと勇気が出た。

「いつでも相談に乗るよ」
心強かった。

生きていることが辛くなったり、全てを投げ捨てたくなる時もあるけど
嬉しくて、楽しくて、幸せな時間も沢山ある。
たまにはこんなふうに自分が生まれた場所に戻ってくれば
色んな感情が湧き上がってきた後に、一つ一つが私の中の箱の中に綺麗に収められていく。
そうやって私は心を整理したら、また走り出せるんだ。

【そんな感じで】

人が生きる中で様々な体験や様々な感情に出会いますね。
全てが良いものではないと思います。
でも、その中で人は生きて前に進んでいきます。
一生懸命生きている主人公の心情を描きました。

読んでいただきありがとうございました。

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