ささ読み小説 第23弾 【悪循環】

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こんにちは
シンディーです。
ささっと読める小説「ささ読み小説」第23弾です。

【悪循環】

「時間がない」
「時間がない」
「やらないと」
「早くしないと」
「もう後がない」

あと3ヶ月ぐらいしかない。
ここまで追い詰められたのは自分のせいだって分かってる。
だから、なんとかするんだ。
自分でどうにかしてやるんだ。
最近はずっとこの調子だ。
いくら考えても時間だけが過ぎていく。

「どうする」
「どうする」
「どうにかしないと」

その時、電話が鳴った。

「もしもし?」
僕は苛立ちを隠して電話に出る。
「よう、今何してる?」
「ユウジどうした?」
「これからタカシ達と飲むんだけど、お前もこない?」
僕は正直それどころではないと思った。
「ごめん、ユウジ今日はちょっと先約があって」
僕は断るために嘘をついた。
「そうか、仕方ないな。また誘うな」
「うん、ごめんな」

そして電話を切った。

僕がこんなんじゃなかったら、ユウジ達と今頃飲みに行っていたのに。
早く、みんなとゆっくり飲めるようになるんだ。
そして3日が経ったが、僕の状況は追い込まれる一方だった。
そんな時、電話が鳴った。

「もしもし?」
「サトシ、お前大丈夫?」
「大丈夫ですよ。カズ先輩どうしたんですか?」
電話の向こうはいつもお世話になっているカズ先輩だった。
「いや、ユウジが心配してたぞ」
ユウジには特に何も言ってない。この間の電話の時に僕の状態が伝わったのだろうか。
僕はカズ先輩に自分の今の事情を簡単に話した。カズ先輩は僕の話をとにかく聞いてくれた。
すると少しだけ気持ちが楽になった気がした。
「お前ちょっと外出れないか?」
カズ先輩は僕の家の近くにいるらしい。先輩に話をしたおかげで少し心に隙間ができたようで、僕は先輩と会うことにした。

僕と先輩は近くの居酒屋でご飯を食べながら話をした。
僕はお酒が入っていたからか、自分に溜まった気持ちや考えを全て先輩に話した。先輩はほとんど話すことはせず、ずっと頷きながら聞いてくれた。僕に絡みついた鎖が徐々に解けていくような感覚だった。
「サトシ、焦る気持ちも押し潰されそうになる気持ちも分かるけど、自分を自分で追い込んだら上手くいくものも上手くいかないぞ。力が入りすぎてる時は一度力を抜いてまた前に進むんだ」
先輩のこの言葉は僕の暴れまわる心を鎮めてくれた。
「いつでも相談乗るから、連絡しろよ」
別れ際、先輩はそう言うと僕の肩にそっと手をおいた。

それから2ヶ月後に僕の快進撃が始まった。
良い具合に肩の力が抜けたのか、この間までは全然浮かばなかったアイデアが浮かび、作業も楽しく進めることができた。
あの時先輩が僕を呼び出してくれなかったらどうなっていたかわからない。

「ちょっと外に出れないか?」
「はい、分かりました」
居酒屋で飲んだ帰り際、
「焦る気持ちも分かるけど、自分をあまり追い込んでも前に進めないぞ。力を抜いてもう一度始めてみろよ」
僕は後輩のノリにそう言って肩に手をおいた。

【こんな感じで】

追い詰められた主人公。焦る気持ちばかりが前に出て、一向に先に進めない悪循環。そんな時に先輩から助けられ、冷静さを取り戻して前に突き進んで行く様子を描きました。そして自分の経験を元に後輩へ伝えていく。
そうやって色々な人がつながり合っていると思います。

あなたは自分を追い込んでいませんか?

読んでいただきありがとうございました。

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