ささ読み小説 第17弾「頑張るのはもうやめた」

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こんにちは
シンディーです。
ささっと読める小説「ささ読み小説」第17弾です。

【頑張るのはもうやめた】

「カズ!早くしろ!」
会社の先輩が僕に怒鳴る。
僕は急いで先輩の後ろを追いかける。
「お前いつも何考えてんだよ」
僕はそう言われながら、歯を食いしばって下を向いた。

僕はずっと頑張ってきた。
同級生に負けない仕事。
家族に褒められる人生。
彼女に自信を持って紹介される振る舞い。
僕はずっと頑張ってきた。
でも、誰も褒めてくれなかった。
こんなにやってるのに。
僕をちゃんと見てくれる人がいない。
「ねぇ、何のためにそんなに頑張るの?」
彼女のヒトミにそう聞かれた時、僕は何を言っているのか分からなかった。
「そんなに無理して苦しくない?」
友人からそう言われた時も、こいつは何を言ってるんだろう?と思った。
「本当のカズがいなくなったみたいに感じる」
父と母がリビングでそんな話をしていた。本当の僕はここにいるじゃないか。

どうしてみんな分かってくれないんだ。どうして僕をちゃんと見てくれないんだ。
僕はここにいる。僕がこんなにも皆んなのことを考えてるのに。
僕がみんなを見るように、みんなも僕を見てよ。
僕はここにいる。ここにいるんだ。

「カズ、大丈夫か?」
お爺ちゃんはそう言うと僕の前に饅頭を差し出した。
僕は饅頭を食べていると涙が出てきて止まらなくなってしまった。
お爺ちゃんに見られたくなくて、庭の方を向いたが、完全にバレていた。

「カズ、よう頑張ったな。」
そう言うとお爺ちゃんは手を僕の肩に優しく置いた。
「苦しかったろう。誰かに認めてもらいたくて無理して。」
お爺ちゃんの声が僕の心に直接響いているような気がした。
「どうだ?もうそろそろ自分を許しても良いんじゃないか?もう自分を認めても良いんじゃないか?」
お爺ちゃんが僕の横で静かに話している間、僕は涙が止まらず、何も言えなかった。
「お前はお前らしくあれば良い。人に認められるかどうかは関係ない。」
僕は人に認められたくて頑張ってきたんだ。人に認められないと意味がない。ずっとそう思ってきた。

「ねぇ、何のためにそんなに頑張るの?」
ヒトミ、僕は認められるためだよ。
「そんなに無理して苦しくない?」
苦しいよ。こんな生活もう嫌だ。
「本当のカズがいなくなったみたいに感じる」
本当の僕なんてとうの昔に分からなくなったよ。

いつからだろうか、人の目しか気にならなくなったのは。
いつからだろうか、無理していることに気づかないふりをし始めたのは。
いつからだろうか、自分が分からなくなったのは。

「お爺ちゃん、もう嫌だ。僕は他人のために生きるのをやめる」
お爺ちゃんは僕の頭をグシャグシャと手でさすった。

「それで良い」
お爺ちゃんのその言葉で僕は何か許された気がした。

【こんな感じで】

ずっと人から認められたくて生きてきた主人公を描きました。
「自分らしく」
人は沢山のつながりの中で生きているので、他人の目を全く気にしないのは難しいかもしれません。それでも、自分の人生は自分が想いに沿って生きたいですね。

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