ささ読み小説 第15弾 「手遅れになる前に」

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こんにちは
シンディーです。
ささっと読める小説「ささ読み小説」第15弾です。

【手遅れになる前に】

「君は何のために生きてるの?」
今日初めてあったおじさんにそう言われたことが僕の中では忘れられなかった。
駅前のカフェで2人で隣の席同士で並んでいる時間がとてつもなく長い時間に思えた。
「それは自分のために」
苦し紛れの答えだった。僕は今何のために生きているのか分からなくなっていた。
「そうだな、人間は自分のためを常に考えて動く」
「私は何のために生きているか分からないんだ」
このおじさんは僕と同じなのか。僕はそう思った。
それと同時にこのおじさんの年齢にもなって、そんなことを言う自分になりたくないと恐怖を感じた。
「私はね、今まで家族のためと思って一生懸命働いてきたんだ。でも、妻も娘も家を出て行ってしまった。」
このおじさんは家族に捨てられたのか。そう思った。家族のためと言いながら、家族がそう感じてなかった。そう分かった時のこのおじさんの気持ちはどんなものだったんだろうか。
「私は妻と子供を恨んだりはしてないんだ。思い返してみると、家族のためと言いながら結局は自分の都合のためだと今なら思うから。」
今更このおじさんは気づいても、奥さんと娘さんはもういない。色々なことが気づいた時には遅いんだろうなと僕は思った。
「僕も気づかないところで何かをしてしまっているんでしょうか。」
自分に聞いているつもりが声に出てしまった。しかも口に出たのは明らかにおじさんへの質問になっている。
「私はね、いつも人や周りのせいにずっとしてきたんだよ。」
おじさんには僕の声は聞こえなかったようだ。
「会社や家族のせいにして、自分で自分のことを考えようとしなかったんだ。」
おじさんはずっと遠くを見るような目で店内のどこかを見つめていた。
「君は人生を人任せにしていないかい?」
おじさんがまた僕に質問してきた。僕は薄々気づいていたんだ。このおじさんのようにいつも社会や会社のせいにして、自分で自分の人生を考えようとしていなかった。いつも不満ばかり漏らして、自分と向き合うことを避けてきたんだ。それを認めずに20年間ずっと生きてきた。
「僕はこのまま生きて、このおじさんのようになるのか?」
僕は心の中でつぶやいた。その瞬間、何かが弾けたような気がした。いい加減逃げるのはやめよう。おじさんのようになって気づいても遅い。自分の人生は自分で決めるんだ。誰でもない自分が自分の人生に責任をとるんだ。
そう思うと、なんだか内側から力が湧いてくるような気がした。そして僕はおじさんに今考えていたことを話そうと横を向いた。
「あれ?」
さっきまでそこにいたはずのおじさんがいない。トイレか?トイレにたったら気づくだろう。なんでだろう。帰ってしまったのか?
しばらくおじさんを待っていたが、帰ってこなかった。ふと外を見るとそのおじさんが歩いているのを見つけた。僕は何かおじさんに伝えないとと思って、急いで外に出た。
僕はおじさんの背中を追いかけた。おじさんが道の角を曲がったところで追いついた。
そして、息を切らしながら
「おじさん、俺気づいたよ。ありがとう」
とおじさんの背中に言った。するとおじさんは僕の方を振り返り
「良かった。今気づけたなら、もう奥さんや娘も出て行ったりしないよ」
おじさんはそう言った瞬間、目の前から消えた。
幽霊でも見たのか?

数年後、僕は妻と出会った。僕と妻の間には可愛い娘が生まれた。

【こんな感じで】

いかがだったでしょうか。
主人公が出会ったおじさんは何だったでしょうか。
それはあなたの想像にお任せします。

読んでいただきありがとうございました。

 

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